犬のトレーニングでよく言われるのが、犬の気質や性格についてです。
確かにトレーニングにおいて犬の性格や気質は重要です。
リーダーになりたがる仕切り屋の性格の犬は、飼い主をどうにかして自分の思うようにコントロールできるかを常に考えているようにも思えます。
反対に従属的な性格の犬は、飼い主に何か言われる度に嬉しそうに従っています。
両者は、あきらかに接し方に違いがあると思います。


しかし、犬の性格だけが重要なのでしょうか?
私は、長い間しつけ教室をしていて、飼い主と犬との関係を観察してきました。
飼い主の性格と犬の性格がマッチしていれば何の問題もなく良い関係を作れるのに、犬の性格と飼い主の性格がミスマッチだったりすると問題はとたんに大きくなります。

それが犬の性格だけアレコレと言っていていいのでしょうか?
犬の飼い主をコントロールしようとする性格と、押されると弱い従属的な性格の飼い主というミスマッチになると、犬の言いなりになる飼い主と飼い主をコントロールし続ける犬という構図が簡単に理解できると思います。


どちらも押しが強いと対立が起こりやすくなります。
犬に対して押し付けを強要することが考えられます。
犬も簡単には引きませんから、強い対立の構図が考えられます。
もっとこわいのは、犬の我の強さに対して、仕返しの形で罰が与えられる可能性が考えられます。


私から言わせると、飼い主の性格の方が犬の性格よりも重要です。
トレーニングを効果的にできるのも、難しいものにするのも飼い主の性格が大いに影響していると私は思っています。

犬との性格のマッチ、ミスマッチだけでなく、しつけ教室でインストラクターからの指示にどれだけ応えていくかということも飼い主の性格によるところがあります。


やたらに批判的で素直に指導を聞き入れない飼い主もいます。
自分の言い訳ばかりして、決して指示を聞こうとしない飼い主には、どんなに良いインストラクターがついていても決して良い結果を出すことはできないでしょう。

特に犬のせいにする飼い主は決して少なくありません。
確かに犬によってはトレーニングが難しい犬はいますが、決してできないことではありません。

犬の性格をよく理解して、その犬にこちらの要求に応えたくなるようにすることが誘導トレーニングなのです。

犬を理解し、犬の喜ぶことをしっかりと認識し、強制ではなくやる気を高めるように努力すればきっといつか必ず犬はきいてくれるようになるのに、自分の都合ばかり押し付けて、犬のメッセージも聞かずにいれば犬の心は離れて行くのもしかたないと思います。