ごほうびは、犬が今、欲しがっているものであったり、ことだというのは誰もが知っていることです。
 
しかし、具体的に「それは、何か」と言われるとなかなか見つけることが難しくなります。
ただでさえ、他人の思っていることなど理解できないのに、相手が犬という異種の生き物ですからなおさらです。
 
ですから、何をごほうびにするかについては、犬の観察と環境作りがとても重要です。
 
ただ、ヒントになる情報があります。
 
ひとつは、ごほうびには2種類あるということです。
 
教えなくても犬が好きなもの。
たとえば、お肉やチーズなどのフードなどは、もともと犬が好きなものです。
ボールを投げてもらって取りに行くのが好きな犬がいます。
引張りっこの遊びが好きな犬もいます。
教えなくても犬から「これが好き!」と言ってくれるごほうびを、『学習しなくても好きなごほうび』と言います。
もちろん、個々の犬の好みがありますから、どれがそれに当たるかは、犬から聞き出さなければなりません。
 
この『学習しなくても好きなごほうび』を効果的に使うには、特徴を理解しておかなければなりません。
 
まず、そのごほうびがオープンエコノミーなのか、クローズドエコノミーなのかということです。
 
オープンエコノミーというのは、“いつも簡単に手に入るもの”と犬が思っているもので、反対にクローズドエコノミーは、“普段はなかなか手に入らないもの”ということです。
 
つまり、なかなか手に入らないものの方が、すぐに手に入るものよりも価値が高いと犬が思うということです。
  
次に、ごほうびには、バラエティがあると価値が上がるということです。
 
好きなものでも、あきてきてしまいますから、色々と好きなものが楽しめるとあきないのでずっと好きでいてくれるということです。
 
 
ただ単に、犬の好きなものをごほうびにすると言っても、これだけのことを考えて、ごほうびを見つけて行く必要があります。

犬の行動をコントロールする重要な道具のごほうびを、簡単に考えていませんでしたか?

『どんなものを犬のごほうびとして使うか』は、トレーニングにとても大切なことなのに、そんな基本的なことを考えずに自分の思い込みやプライドを犬に押し付けて、トレーニングしている人が多いことが問題だと思います。
 
ものに頼らず、人が自分で犬が好きでいてくれるために、どうすればいいのかを考えることができたらもっとトレーニングは、効果的にできるはずなのです