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(Update:2008-9-18 16:19:26)

第8話)由美子さんとレベッカ

レベッカは、ゴールデンレトリーバーの女の子です。
由美子さんは、シングルマザーで克比古君という一人息子とレベッカの3人?家族で暮らしていました。

ぬいぐるみのようにかわいかったレベッカもだんだんと大きくなるにつれて、やんちゃになり、由美子さんの手に負えなくなってきていました。


克比古君も中学生で由美子さんの手をわずらわせるようになっていました。
母子家庭というだけでイジメにあったり、近所の人から何か言われているようで、それでもけなげに自分で母親に迷惑をかけないように気を使っていることを由美子さんは知っていました。

レベッカは、そんな克比古君の良き理解者で、学校から帰ると克比古君とレベッカは、いつも一緒に過ごしていました。

克比古君は、「今のレベッカで充分だ。しつけ教室なんて行かなくていい!」と言い張りましたが、由美子さんは、レベッカをどこにでも連れて行ける犬にしたいと思っていました。


そこで近所で開催されているしつけ教室に不満たらたらな克比古君とルンルンのレベッカを連れて出かけて行きました。

しつけ教室には、同じようなゴールデンが来ていて、みんな和気藹々と楽しそうにレッスンを受けていました。

さっそく仲間に入れてもらってトレーニングしようと思ったら、レベッカは他のワンコに夢中で由美子さんはおろか克比古君も眼中にありませんでした。


「なんだよ、レベッカ!僕のこと無視して!おまえなんか嫌いだ!」と克比古君はその場を走り去ってしまうわ、完全に飼い主を無視して他の犬に遊ぼうと誘うレベッカに由美子さんも悲しくなってしまいました。

途方にくれた由美子さんにしつけ教室の先生が笑いながら近づいてきました。

「ずいぶんと苦労されているみたいですね。今まで自分の好きにしたいようにしてきたのですから、環境が変わっても同じようにしたいと思っているんですよ。ただ、かわいがるだけではダメなんです。犬と飼い主の間にきちんとしたルールを作って、それを守るように犬に教えないとダメなんです。それに犬は集団で生きているので、命令系統がどこから出されるかを理解できるんです。つまり、誰がリーダーなのかを知っているのです。今のところレベッカちゃんがリーダーなんだと思っているようですよ。だから、自分のしたいことを優先しているだけです。さっきお兄ちゃんが悲しそうな顔して走っていきましたけど、もしかしてレベッカちゃんが自分を無視していると思っているんじゃないですか?」と由美子さんの不安そうな顔を見て、先生は笑うのをやめて深刻な顔で心配していました。


由美子さんは、この先生なら克比古のこともきっとわかってくれそうだと思い、学校でのイジメのこと、レベッカが心の頼りになっていることを話しました。

先生は、「なるほど、それじゃぁさっきのレベッカの態度はきっとショックだったと思いますよ。克比古君を無理に教室に連れてこないで下さい。あなたがレベッカと良い関係になって、しっかりレベッカのリーダーになれば必ず克比古君もわかってくれますよ。私が協力しますから、めげないでがんばりましょう。」と優しく肩をたたいてはげましてくれました。


それから由美子さんは、レベッカと向き合ってトレーニングに励みました。
克比古君は、あれだけレベッカと一緒にいたのに、教室から帰ってからはあまりレベッカにかまわなくなりました。

由美子さんは、克比古君にレベッカの教室での態度について話そうとしていましたが、なかなか聞き入れてもらえず、先生から聞いた「時間をかけて納得してもらいましょう」という言葉を信じて、自分がレベッカと良い関係を作る努力をしようと決心しました。


もともと、素直で賢い犬なので教室での由美子さんとレベッカはめきめきと上達して行きました。
由美子さんをリーダーだと認めて、由美子さんに集中し、課題を次々とこなして行くのをしつけ教室の先生は、とても嬉しそうに見ていました。


「どう?家に帰ってからもトレーニングやってる?克比古君にその姿を見せてる?あなたたちのラブラブな様子を克比古君に見せてみて!きっと誤解がとけると思うよ。」とある日、先生が由美子さんに提案しました。

その頃、由美子さんとレベッカは教室でよく模範で他の生徒さんたちに見せる機会が多くなっていたのです。


由美子さんは、帰宅してから久しぶりに克比古君を誘い、レベッカと近所に散歩に出かけました。

克比古君は、少し驚いていました。
なぜって、お母さんとレベッカは、以前のように引っ張られて走るように散歩するのでなく、2人で並んで楽しそうに歩いていたからです。

信号や、道路を渡る時には、レベッカはお母さんの横に賢く座り、指示があるまでじっとしていました。


大きな公園に着くと、お母さんは伸び縮みするリードに変えて、レベッカと楽しそうに遊び出しました。

ボールが克比古君の足元に飛んできました。
お母さんとレベッカが「一緒に遊ぼう!」と誘っていることが克比古君にもわかりました。
3人で日が暮れるまで公園で遊びました。


芝生に腰掛けてレベッカを真中にして座り、沈む夕日を見ながら、お母さんが克比古君に話しかけました。
「どう?レベッカと私、けっこうイケてると思わない?」と克比古君に向かってウインクしながら言いました。
「そうだね、レベッカも母さんも大好きだよ。」と克比古君は素直に応えてくれました。


由美子さんは、レベッカとトレーニングしてきて良かったと心から思いました。
それからますます教室でがんばろうとした矢先にレベッカが急に体調を崩しました。
元気印だったレベッカの急な変わり方に由美子さんは、驚いて獣医さんに連れて行きました。

まだ、3歳にもなっていないのにレベッカの体をガンが蝕んでいました。
それからレベッカの辛い闘病生活が始まりました。
「きっと元気になるからね。がんばろうね。」と由美子さんは、不安そうな顔をしているレベッカを励まして、抗がん剤の治療を続けました。


しかし、4歳になる前にレベッカはとうとう病魔に打ち勝てず、若い命を散らしてしまいました。

小さな白い陶器の入れ物の中に収まったレベッカの遺骨を抱いて、元気な頃に通った道を歩き、しつけ教室のところに由美子さんはやってきました。

先生にレベッカが最後のお別れができるようにするためでした。


「先生、あんなにがんばったけどダメだったわ。レベッカはこんなに小さくなってしまったわ。きっと先生にお礼を言ってからでないと天国に逝けないと思ったので、迷惑かと思ったけど連れてきちゃった。」と涙をポロポロこぼしながら由美子さんは先生にレベッカの遺骨の入った入れ物を差し出しました。


先生は、にっこりと笑ってレベッカを受け取り、「よくがんばったね、レベッカ。教室でもいつも優等生だったからね。きっととてもがんばったんだろうね。もう、痛くないし、元気に走り回れるよ。いつか、私がそっちに行ったら声をかけてね。」となでながら話しました。


そして、レベッカを返しながら、「とても良い見本となってくれていたレベッカとお母さんを失うのはとても辛いけど、レベッカがたくさんの思い出を作ってくれたから、お母さんも大丈夫だよね。克比古君は大丈夫?」と心配そうに先生が尋ねました。

「先生、心配してくれてありがとう!レベッカが逝ってしまってから、克比古がすごく私のことを気遣ってくれるの。とても素敵なお兄ちゃんになってくれたわ。妹の死は悲しいけど、これからは僕がお母さんを守るってレベッカと約束したんだと話してくれたの。レベッカがいなくなって悲しいけど、レベッカが克比古との仲を取り持ってくれたから大丈夫よ。」と涙でぐしょぐしょの顔で笑ってくれたのでした。

先生の目には、元気な頃のレベッカと由美子さん、克比古君の誰もがうらやましがった仲良し家族の姿が写真のように浮かびました。


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